(かなり大雑把に書いた^^;)前回の記事で『愛用者』が売上を大きく左右する・・・ということはなんとなくご理解いただけたかと思いますが、今回は
通販企業は出演者をどうやって集めているか?
をまたまたざっくりとですが、ご説明します。
まず、比較的長尺のテレビショッピング番組をイメージして下さい。
ナレーションやMCなどを除く出演者はだいたいこんな感じですよね?
1.開発関係者(社長や商品開発者、工場長、商品企画部社員など)
2.愛用者(素人ユーザーさん、芸能人・アスリートなどの著名人)
3.権威者(医者・学者・研究者など)
こういった人たちのうち、「開発関係者」については容易に想像できますが、
「愛用者」や「権威者」の人たちはどうやって出演していただいているのでしょうか?
簡単ではない愛用者探し
既に長い間ご愛用いただいている方々に番組への出演をお願しても、
企業:「うちの商品の宣伝でVTRに出てください」
愛用者:「喜んで!」
映像制作会社:「出演を即決してくれて良かった!^^v」
なんて流れはまず無いということをご理解ください。
実は通販番組の制作で最も苦労するのが、出演してくれる(商品ユーザーのイメージに合致した)愛用者探しです。
パターン別に見ていきます。
素人さん愛用者
健康食品や美容化粧品などを扱っている多くの企業は、
コンタクトの取れる愛用者を囲っています。(言い方を変えると、ファンづくりです。企業努力ってやつですね。)
数多くいる愛用者の中でも
・コミュニケーションを取れる良好な関係を構築している
・商品を溺愛している方が沢山いる
いわゆる「商品(や企業)のファン」を沢山持っていて、その方々にインフォマへの出演を打診したりします。
出演前に「どういった人なのか?」「テレビ映えするか?」「個性的か?」などの適正判断も含め、事前に話し合いを行い、
最終的に出演していただくことになります。
愛用者のプロフィールや商品を使用するまでの経緯などをご紹介するので、ご自宅、仕事場などでインタビューするケースが多く、時間的拘束もあるので、多くの場合、出演に際しては謝礼が支払われます。
事務所所属の方
「タレント事務所」と聞くと、TVによく出てくる有名タレントが沢山所属している・・というイメージがあるかと思いますが、
別の仕事や専業主婦をしながら所属している、半分素人のような方も多くいらっしゃいます。
地方のチラシに載っているモデルさんから、手や足のみのパーツモデルさんまで、
あまり耳にしない名前の事務所でも、実は結構な数の方が所属してたりします。
そういったこともあり、新商品などの場合は
タレント事務所を通じ、番組への出演を数か月前から依頼して、
撮影までの間予め新商品を使っていただくことで、愛用者として出演しているケースが多いです。
もちろん事前に演技指導をしたりはせず、愛用者として感じていることを自分の言葉で率直に語っていただくことになりますが、
カメラ前でも落ち着きがあり流暢にしゃべってしかも妙にカメラ映えしているような愛用者は、おそらく事務所所属の方で間違いありません。
この人たちを純粋な愛用者と呼べるかどうか?なのですが・・
今風に言うと、『ビジネス愛用者』なので、愛用者というカテゴリに入らないこともないですが、視聴者側からしたらコメントの信頼度は下がりますね。
謝礼ではなく、出演料(ギャラ)が所属事務所などへ支払われます。
タレント・芸能人
予算が確保できた場合、以下のようなケースで知名度のあるタレントを使うこともあります。
・メディア投下エリアや時間帯を拡大することで、売上の更なる向上が見込まれる商品
・世間の認知度がまだない成分などを利用しているが、画期的で流行りそうな商品
・会社自体の知名度がまだ無い
・後発で競合が多い商品 などなど。
タレントを使うと商品の知名度や会社の信頼性は一気に高まりますが、
ダイレクトにコストに跳ね返ってきますので、外れた時はちょっとつらいですね。
(テレビショッピングで商品を販売するのは、博打的な商売の側面もありますので、いきなりタレントを使っていくのは大手企業でもなかなか難しいです。)
多いのは、
それまで地方局・ケーブル・CSなどで流していた広告を地上波・BS等にも流し始めるといったタイミングでのタレント起用です。
珍しいケースとしては、タレント(事務所や個人)からの売り込みもあります。
実際にかなり有名なタレントの方から直筆で(かどうか分かりませんが)「ファンなので是非出演したい」といった旨の手紙をいただいたこともあります。
誰もが知ってる年配の方で、健康食品にはぴったりのキャラクターでしたが、ギャラが高そうなので丁重にお断りしました^^;
愛用者を起用する際の考え方
テレビショッピングである以上、オンエアの際の売上が最重要です。
著名人を使うのにこしたことはありませんが、
実際のところ、
商品イメージや信用など一切考慮せず、単純にブロック単位でインフォマ(29分)を見た場合、有名タレントの出演しているブロックよりも、一般の方が出演しているブロックの方がCTAが良い・・
なんてことは普通にあります。
※CTA=Call To Action の頭文字を取ったマーケティング略語。日本語で行動喚起。TV通販で語られる場合、多くはコール数を指すが、最近では販売サイトへのアクセス等も含まれたりします。
全国的に有名なタレントがそこらへんにいるおばちゃんに負けてしまうのです。
(そこがテレビ通販の面白いところだったりしますし、今流行りのYouTuberにも通ずるところでもあるのかなあ・・・なんて思ったりもします。)
ただ、売上以外の部分
・商品イメージ
・会社の信用
・競合の販促活動
・メディアの使い方
・全体の予算
なども考えながら、
「自社(商品)の強み(弱み)を十分に検討し、何が目的でこの愛用者を起用しているのか?」を見直してみることが重要です。
また、視聴する側の方もこういったところを考えながら見てみると、夜中のテレビでやっているショッピング番組もひょっとしたら面白くなる?かも知れませんね。
次回は「TV通販出演者の集め方”権威者篇”」を予定しています。
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